誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか
人は何故ダイエットや、禁煙に失敗するのか。夏休みの宿題は、どうして最後の日まで先送りしてしますのか、について書いてあります。
以下、メモ。
- 全ては、人が将来の出来事を双曲割引で評価することが原因だとのことです。双曲割引とは、未来の出来事を、現在からの時間に反比例して割引いて評価する。10年後の50万円は、5年後の25万円、1年後の5万円、半年後の2万5千円と同じ価値だと判断する。待てばたくさんもらえるとわかっていても、つい目先の小さい利益を選んでしまう。これは、人だけでなく、他の生物も同じ。鳩を使った実験でも確かめられているそうです。
- ひとりの人間の心の中で、短期の利益、長期の利益が競合してそれぞれが優位を占めようと争っている。やせるという長期の利益にたいして、カツ丼という短期の利益は、今回だけは例外だからとささやく。
- 長期の利益は、短期の利益に勝つためには、利益をまとめて考える。個人のルールを作ってしまう。例えば「揚げ物は食べない」というルールを作ってしまう。
- 個人のルールは、再帰的な性格をもつ。守ることが出来ればそれが前例、自信となって、次回以降守りやすくなるし、失敗すれば、失敗したことが前提となって、どうせ俺はダメな人間だからと次回以降はもっと失敗しやすくなる。
- 個人のルールを守ることに成功し続ければ、長期の利益を達成できるが、ルールを守り続けることによる副作用もある。長期利益を得るためのルールだったはずが、ルールを守ること自体が目標となってしまい、現実の出来事を味わうことができなくなり、選択が硬直化する。
- たまには、意識して個人のルールを破ってみる、ルールを破って長期の利益を再評価することも大事。選択が硬直すると、全てがわかってしまったような気がして、行動する意欲がなくなる。
ちょうど今ダイエット中ということもあって、自分が今どんな利益と利益の競合に悩んでいるのか、どっちを選択したのか意識してみると面白いです。少し読みにくい本ですが、かなり刺激的な内容でした。訳者の後書きを読んでから本文を読むとわかりやすいと思います。
- 作者: ジョージ・エインズリー,山形浩生
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2006/08/30
- メディア: 単行本
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