饗宴

宴会に集まった人たちが、エロス(愛)について順に語っていく。最後に立ったソクラテスが言ったことは、「愛とは、自分が持っていない、何か美しいもの善きものを永遠に手に入れようとすること。」


エロス(愛)はボロス(術策の神)とペニヤ(窮乏)の間に生まれた息子であるとの説明の中で、

彼(エロス)は智慧と無知との中間にいるのです。それは、こういう訳なのです。およそ神と名のつくものは愛智者でもなく、また智者となることを願うというようなこともない。(彼らは既にそうなのですから。)その他誰でも智慧あるものはもはや智慧を愛求することをしないでしょう。しかし、他方、無知者もまた智慧を愛求することもなければ、また智者になりたいと願うこともないものです。というのは、無知がはなはだ厄介なものであるゆえんはこういう点にあるからです、すなわち自ら美しくも善くもまた聡明でもないくせに、それで自ら充分だと満足していること、ちょうどその事に。ですから自ら欠乏を感じていない者は、自らその欠乏を感じていないものを欲求するはずもありません。


こんな本読んだのは、高校の倫理・社会で西洋哲学の勉強したとき以来です。本は薄くて字面を追うだけならあっという間に読んでしまえるのですが、何度もじっくりと繰り返し読んでみたくなります。

饗宴 (岩波文庫)

饗宴 (岩波文庫)