徒然草・方丈記

徒然草は、この世の無常を優雅に嘆くというよりも、もっと差し迫った、「まもなく死んでしまう。」という著者のあせりを感じました。

命は人を待つものかは。無常の来ることは、水火の攻むるよりも速やかに、逃れ難きものを、その時、老いたる親・いとなき子・君の恩・人の情け、捨てがたしとて捨てざらんや。

人はただ、無常の身に迫りぬることを、心にひしとかけて、つかのまも忘るまじきなり。さらば、などか、この世の濁りも薄く、仏道を勤むる心もまめやかならざらん。

我らが生死の到来、ただ今にもやあらん。それを忘れて、物見て日を暮らす、愚かなる事はなほまさりたるものを。

「まもなく死んでしまうことを思えば、仕事や世間体なんか放っておいて、隠遁して仏道に励むしかないやろ。」と何度も言っています。


徒然草をじっくりと読むのは、高校の古文の時間以来です。高校の時は、面倒なだけで全然面白くなかったですが、今読むと、著者の微妙な言い回しが面白い。現代語訳ー原文ー解説の順で書いてあるので、すらすらと読めます。現代語訳の意味を補足する記述がやや回りくどく感じるので、2回目は原文を最初に味わうのがいいと思います。

徒然草・方丈記―日本古典は面白い (ちくま文庫)

徒然草・方丈記―日本古典は面白い (ちくま文庫)