人生の短さについて 他二編

他二編は「心の平静について」と「幸福な人生について」です。ローマ帝政の初期に生きたストア主義者セネカの著作です。


いかに多くの人が、自分の人生をどうでもいい仕事や、どうでもいい付き合いや、暇つぶしに無駄に過ごしているかを説きます。長生きしても自分のために何かをする時間は非常に短いといいます。逆に過去を顧み現在を善く生きるのであれば、人の一生は何事かを成すために十分に長いといいます。

充ち溢れる湯水でも使うように諸君は時間を浪費している。ところがその間に、諸君が誰かに与えている一日は、諸君の最後の日になるかもしれないのだ。諸君は今にも死ぬかのようにすべてを恐怖するが、いつまでも死なないかのように全てを熱望する。

時は過去になったのか。賢者はこれを回想によって捕まえる。時は現在にあるのか。賢者はこれを活用する。時は未来にあるのか。賢者はこれを予知する。あらゆる時を一つに集めることによって、賢者の生命は永続せしめられる。
ところが、過去を忘れ現在を軽んじ未来を恐れる者たちの生涯は、きわめて短く、きわめて不安定である。生涯の終末に至ったとき、何のなすところもなく長い間多忙に過ごしたことに気付いても、かわいそうに時はすでに遅い。

高校生の時、大学生の時、働き始めた頃、それぞれの段階で「もっと勉強しておけばよかった。」とか「もっと一生懸命仕事をしておけばよかった」と後悔することばかりです。そのころは現在が永遠に続くかのように毎日をボーっと過ごしているくせに、「今さらやっても、どうにもならん。」という諦めの気持ちで何もせず過ごしてきたように思います。


今日という日を無駄に過ごさなかっだろうか。

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)