{本]市場を創る バザールからネット取引まで
市場についてたくさんの事例とともに説明してくれるので、読み物として面白いです。アメリカでの携帯電話の周波数帯割り当てオークションや、二酸化硫黄の排出権市場、スウェーデンの列車ダイヤ決定オークション、エイズ治療薬と特許のお話が面白かった。以下内容のメモ
- 貧困をなくすためには、富の配分=格差是正も重要だが、まず、経済全体の成長率を高めることが重要。
- 経済成長率を高めるためには、何をどれだけつくるかの決定はは市場にまかせるべきであり、政府が介入しないほうがいい。
- かといって政府がなくてもよいわけではない。政府は市場がうまく機能するための基盤を創る、維持するという役割がある。財産権を保証する法制度の整備、市場のルールの設定、不正の監視などである。
- 市場を利用してうまく経済成長率を高めることに成功した例は、中国、ニュージーランド。あまりうまくいかなかった例はロシア。ロシアは市場経済のインフラが整う前に市場経済へ急激に移行したために、移行の痛みが長く続いた。
- 従来、政府の裁量で行ってきた公共財の配分や規制も、市場を創出し利用することで、もっと効率的に行うことができる。たとえば、オークションによる携帯電話用の電波の周波数帯の割り当て、酸性雨の原因である二酸化硫黄の排出権市場の創出である。
- しかし、市場の設計をうまくやらないと資源配分にゆがみが生じてしますので、細心の注意をもって設計しなければならない。発電コストの削減をねらって創られたカルフォルニア州の電力市場は、卸売価格の決定を市場にゆだねたものの、小売価格は規制されたままであったために、卸売価格の暴騰と供給不足=停電をもたらすこととなった。
市場を創る―バザールからネット取引まで (叢書“制度を考える”)
- 作者: ジョンマクミラン,John McMillan,瀧澤弘和,木村友二
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本
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