ハイエク 知識社会の自由主義

サッチャーレーガン政権が行った経済政策の思想的なバックボーンとなった経済学者の考え方を、わかりやすく説明してくれます。わかりやすすぎて少々物足りないです。本人の著書を読んでみたくなりました。


多分こんなこと言っているんだろうなと私が思うこと。

  • 社会主義にせよケインズ政策にせよ、賢い政府があるべき社会を実現するために、社会を計画的に操縦しようとしてもうまくいかない。意図しない結果に終わることになる。それよりも、個人や企業が自由にトライアンドエラーを繰り返して自立的な秩序がうまれるような制度を設計すべき。
  • 計画的に動かすために必要な膨大な情報を政府が収集することは、困難。
  • そもそも、「あるべき社会」がどんなものなのか合理的、民主的な手段で決定することもできない。個人の好みを集計しようがない。
  • 政府ができることは、個人や企業が自由に意思決定できるように制度を設計すること。

印象に残った部分。

われわれの社会が最適だという保証もなければ、それに近づいているという保証もない。必要なのは、人々に間違える自由とそれを修正する自由を与えることによって、少しでもましな状態に保つことだけだ。それが自由な社会の最大の特徴である。


企業には利益を最大化するという目標があり、それに向けて組織を最適化しようとする意思が働きますが、政府には、「人々の幸福を最大化する」というお題目はあるものの、幸福の尺度は人によって違うので、どっちに向かって走っていいのか、政府自身では決定できません。政府は、何かを成し遂げるための組織というよりは、権力闘争の場だと割り切ると、色々なわけのわからなさが少し理解できます。

ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)

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