経営の未来 マネージメントをイノベーションせよ

著者はイノベーションには4つの段階があるといいます。

  1. 日常業務のやり方を改善する、「業務イノベーション
  2. 今までにない製品/サービスを提供する、「製品/サービスイノベーション
  3. 今までにないビジネスモデルをつくりだす、「戦略イノベーション
  4. マネージメントを作り変える「経営管理イノベーション

後になるほど、他者が真似してキャッチアップするまでに時間がかかります。ちょっとした業務の改善や、新製品はあっという間に真似されますが、社員をマネージメントする方法を真似することはそう簡単にはできません。


20世紀はじめに、同じものを大量に効率良く作ることを目的に経営管理システムを組み立てられ、それが20世紀を透して維持されてきました。

19世紀のアメリカは、ロイ・ジャックがいみじくも言ったように「自営業者の国」だった。白人男性の10人に9人が自分で仕事をしており、センサスの分類による「製造業者」は一般に3〜4人しか雇っていなかった。(中略)実をいうと、「エンプロイー(従業員)」という概念は近代になって初めて生み出されたもので、時代を超越した社会的慣行ではない。強い意志を持つ人間を従順な従業員に変えるために、20世紀初頭にどれほど大規模な努力がなされ、それがどれほど成功したかを見ると、マルクス主義者でなくてもぞってさせられる。近代工業化社会の職場が求めるものを満たすためには、人間の習慣や価値観を徹底的に作り変える必要があった。生産物でなく時間を売ること。仕事のペースを時計に合わせること。厳密に定められた感覚で食事をし、睡眠をとること、同じ単純作業を一日中際限なく繰り返すことーこれらはどれ一つとして人間の自然な本能ではなかった。(もちろん、今もそうではない)。したがって、「従業員」という概念が−また、近代経営管理の教義のほかのどの概念であれー永遠の真実という揺るぎないものに根ざしていると思い込むのは危険である。

著者はこの本で、21世紀の「経営管理イノベーション」の方向性と実現の方策を説きます。

  • これまでの経営管理システムのキーワードは、標準化、専門化、目標の一致、組織階層、計画・管理、外的報酬(金銭的報酬)
  • 未来の経営管理のキーワードは、生命=多様性、市場=柔軟性、民主主義=積極的な参加、信仰=意味、都市=幸運な出会い

目標と、始まりと終わりを明確にしたプロジェクトがあって、そこに参加したい人が自由に参加、フラットな組織で中間管理職は必要最小限、そんな組織へとどうやって変えていくかが鍵のようです。


イノベーションの実例として、ホールフーズ、ゴア、グーグルが登場します。ホールフーズはアメリカの有機栽培の野菜、体にいい食品を扱う高級食品スーパーです。値段は高いけれど、面白い商品を扱っていて暇つぶしにはもってこい。私は、ケトルのポテトチップスを始めてここで買いました。


WHOLE FOODS MARKET: http://www.wholefoodsmarket.com/
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