ヒトは食べられて進化した
人類の祖先はどんな生活をしていたのか?「集団で狩りをして獲物をしとめ、仲間内で肉を分け合って食べていた。」この本は、こんな「狩るヒト」のイメージを、化石の跡や現在の霊長類がどのくらいの頻度で肉食獣に食べられているのかを集計したデータを使って丁寧に修正していきます。まず、最初の7つの章でヒトの祖先を食べていたと思われる生き物が登場します。ネコ科、犬科、ヘビ、ワニ、オオトカゲ、猛禽類。ヒョウは霊長類専門と言ってもいいくらいよく食べているそうです。チンパンジーは毎年5〜6%の個体が他の動物に狩られているとのこと。タカやワシなどの猛禽類も子供であれば十分襲う実力があるそうです。
食べられるのを回避するために、ヒトを含む霊長類が採ってきた戦略が、最後の二つの章で示されます。集団で行動し、雄が見張り役となり、大きな鳴き声でお互いに連絡を取る。連絡を取り合うことから、言葉の起源につながっていったのかもしれません。
鳥、ヘビ、野犬などに遭遇したときの恐怖感は、発達の過程でDNAに刷り込まれているような気がする。
- 作者: ドナ・ハート,ロバート W.サスマン,伊藤伸子
- 出版社/メーカー: 化学同人
- 発売日: 2007/06/28
- メディア: 単行本
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