ちょっと昔の道具から見なおす住まい方

まな板、包丁、砥石、亀の子たわし、へちま、貝なべ、羽釜、ほうろく、七りん、すりこぎ、すり鉢、鰹節けずり、そば打ち、餅つき臼、石臼、飯櫃、米びつ、乾物箱、揚げ板、漬物石、漏斗、竹の皮、ちゃぶ台、箱膳、漆椀、醤油刺し、箸、箸箱、かなだらい、トタンのバケツ、ポンプ井戸、蛇口、踏み台、火鉢、火吹き竹、床の間、雑巾・・・・・・・


私が子供の頃までは、かろうじて現役でつかわれていたような道具と、その道具を使う生活から、現在住まいを見直していきます。ちょっと昔の道具を使う生活は、今の生活にくらべれば、使うときに手間がかかるし、手入れも必要なので、不便です。ただ、道具を使う人のひと手間が、安売りのお店で買ってきて古くなれば捨ててしまうような商品では味わうことのできない、いい時間を与えてくれるように思います。


この前から、古いTシャツとタオルで雑巾を縫うようになりました。Tシャツを芯にしてタオルを被せて、木綿糸で刺し子にしてつくります。それまでは、市販の布きんを使っていたのですが、自分で作ってみたら案外と丈夫で長持ちします。台布きんとして使ってくたびれたものは、床拭きようにしています。先週の日曜日には、せっかく雑巾をつくったので、居間のフローリングの雑巾がけをしました。床の上にしゃがみこんでゴシゴシやっていると、積年の床の汚れが目につき、その都度丁寧に拭いてきれいにしました。


掃除機かけてクイックルワイパーで拭くだけで十分なのですが、ひと手間かけることでもっときれいになったような気がしますし、楽しい時間がすごせました。


この本の中に、ラオスの女の子が自分のためにスカートを作る話がでてきます。スカートを作るために麻を植えるところから始まって、出来た麻から糸を紡ぎ、織って、藍を自分で作って染めて、やっとスカートの生地ができます。出来たスカートの布を日本の経師屋さんに見てもらったら、「重要文化財級の古代裂に匹敵、これだけのものはもう出来ないものだから産地をあかすな。」と言われたそうです。


ラオスの普通の人の片手間仕事が、日本では手に入れられないような、豊かな布を産み出す。自分の生活のためにかけるひと手間は、その手間を時給で換算したお金で買えるものよりも、豊かなモノをもたらすように思います。まずお金を稼いで、そのお金で必要なものを手に入れるよりも、自分の生活を良くするために、自分が直接ひと手間かけるほうが、良いものが手に入るのではないかと思う。

ちょっと昔の道具から見なおす住まい方

ちょっと昔の道具から見なおす住まい方