仕事の渋滞解消します!

「渋滞学」西成活裕さんが渋滞解消の手法を仕事の効率化へ応用します。仕事の流れの滞りを渋滞学の見地から解決します。少し有名になったからといって、サラリーマン向けのハウツーものを書いちゃって、と正直あまり期待してなかったのですが、予想に反して面白いし、読み応えのある内容でした。特に「Section 3 社内の渋滞解消します」では、西成さんがどんな研究をして、なぜ独自の渋滞学に取り組むことになったのかを詳しくお話されていて、引き込まれました。東京大学の航空宇宙工学専攻の博士課程を修了してから、独自の研究で認められるまでの苦労、大学でのポストを得るまでの苦労が綴られています。その中で、象牙の塔に閉じこもっているだけでは社会で必要とされない、研究者といえども社会に貢献できる研究をすることで、社会とつながっていけるんだとおっしゃっています。また、この本の内容が実践的だと感じられるのは、西成さんが東京大学の経営効率改善、ムダ取り運動の中心として、ご苦労された経験を踏まえていらっしゃるからだと思います。


仕事の効率改善のためにすべきことで、一つ印象に残ったのは、無理して自分の全力を出し切って、仕事をしてはダメだということです。無理していると何か起こったときに一気に仕事の流れが滞ってしまうそうです。全力で仕事していると回りが見えなくなって、周囲に迷惑をかけることになるといいます。0.9ぐらいの力で仕事して、0.1は全体の流れに合わせていくために使うべきだそうです。ボブスレーの選手がスタートするときも目いっぱい全力で押すとかえってタイムは悪くなるそうです。全力で押していると飛び乗る瞬間にそりを手前に引いてブレーキをかけてしまうそうです。0.1の力を残しておいて、最後に飛び乗るときに後ろへ蹴りながら乗ると、いいタイムが出るそうです。


あとがきでは、経済成長は本当に必要なのかということについても問題提起しています。自然条件の制約等で、社会全体の経済活動のレベルをこれ以上あげることができないのであれば、個別の国が経済成長を目指すことは社会全体の不利益になる可能性もあるように思いました。

シゴトの渋滞、解消します! 結果がついてくる絶対法則

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