グリーン・ニューディール 環境投資は世界経済を救えるか

オバマ大統領が選挙戦で打ち出したグリーン・エコノミー、NHKがアメリカでの再生可能エネルギースマートグリッド関連の投資の状況を取材したものを本にしたものです。


グリーン・エコノミーともグリーン・ニューディールとも言われるアメリカの環境関連投資の中心は、スマート・グリッド構築に向けた投資です。なぜ、アメリカでスマートグリッドへの投資が必要とされるかというと、

  1. 送電網が老朽化し、送電ロスが大きくなっているので早急に効率的な全国的な送電網へ更新する必要がある
  2. カリフォルニア州など電力自由化を進めた地域では、発電施設への十分な投資が行われてきていないため供給余力が少ない。よって需要側での精緻な制御でピークシフトやピークの平準化を図る必要がある。
  3. オバマ大統領は「自然エネルギーによる電力の割合を2012年までに10%、2025年までに25%」にする方針を示している。自然エネルギーによる、出力が不安定で、小規模分散型の電源を送電網に大量に受け入れるためには、系統の安定化のためにスマートグリッドの導入が不可欠


日本が現在のように、地域ごとの電力会社に原発や火力発電のような大規模集中型の発電施設を中心とした電力供給を任せるのであれば、エネルギー供給という面では、スマートグリッドの必要性は小さいのかもしれません。ただ、現在の体制を維持する問題点は、市場原理が働かないために、海外に比べて、電力供給の過剰品質=コスト高となることと、再生可能エネルギー導入の開発競争に乗り遅れることだろう。