E=mc² 世界一有名な方程式の「伝記」 

E=mc²、1905年にアインシュタイン特殊相対性理論の論文の補遺に初めて登場したこの式が本書の主人公です。E(エネルギー)、m(質量)、c(光の速さ)のそれぞれの概念が科学の歴史のなかでどのように考えれれてきたのか、そして、それらをアインシュタインがどうやって統一的に説明したのか、を関係する科学者のエピソードを織り交ぜながら辿ります。


本書では、この式はエネルギーと質量が、光の速度を媒介として関連する、つまり質量が莫大なエネルギーに変わったり、エネルギーの集積の質量に転じることを表しているとだけ説明され、数式はこれ以上登場してきません。この式が生まれてから、この式をどうやって使ってきたが後半のテーマになります。ドイツとアメリカの原爆開発競争や、ブラックホールなどの宇宙物理の展開に多くのページが割かれています。


ソファーに寝転んで、お気楽に読む科学モノとしておすすめ。事実をつきあわせて議論する科学でさえ、従来の常識を覆すような革新的な理論は、それまでの学会の権威(=古い世代)が退場しないと認められない例が続出で驚きます。

E=mc2――世界一有名な方程式の「伝記」 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

E=mc2――世界一有名な方程式の「伝記」 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)