迷える者の禅修業 ドイツ人住職が見た日本仏教

ただ坐る 生きる自信が湧く 1日15分坐禅」を書いたネルケ無方さんの著書。ドイツで高校に通っていた頃に坐禅に触れ、禅を勉強するために日本にきたものの、日本の葬式を執り行うだけの形骸化した仏教に失望する。受け入れてもらえるお寺をなんとか探して修行をはじめるがなんども挫折。一時は大阪城公園でホームレス生活を送りながら坐禅を続ける。今は兵庫県の山奥にある安泰寺というところの住職をされているそうだ。


日本の大きなお寺の修行は軍隊よりも上下関係が厳しく、ほとんど下っ端いじめのようなお寺の修行の様子がすさまじい。一番下の者は何ヶ月も風呂にも入れず、余った食事を無理やり食わされて胃腸を悪くする。


日本人と欧米人とで、指導する内容が正反対になるこというのが面白い。日本人は1から10まで全部教えてもらうつもりで、自分というものがない。師匠に全ておまかせという態度の人が多いので、「修行するのは自分。自分でなんとかしろ。」と突き放す。欧米人は自分の思い込みが激しくて、師匠の言うことを聞かないので、「自分を捨てろ。」と指導する。


お寺だからといって浮世離れした優雅な生活をしているかと思いきや、人が沢山集まって生活していくとなると生臭くて、難しいことがいろいろあるんだなぁというのが正直な感想。

迷える者の禅修行―ドイツ人住職が見た日本仏教 (新潮新書)

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