フラット化する世界 上
2,006年出版。アメリカ企業がソフトウエア開発やコールセンターなどをインドへアウトソーシンしている実態を見て、経済のグローバル化の進捗に驚くところから始まる。7年前の本だけどiPhoneが登場しないこと以外は全然古くない。WiFiで常にネットに接続できて、携帯電話としても使えるスマートフォンは夢の装置。なつかしのパームパイロットや日本の携帯電話が最先端の装置として登場する。
マルクス、エンゲルスの「共産党宣言」に、世界がフラット化するプロセスに似たようなことが書いてある、とマイケルサンデルが著者に指摘する箇所がある。
マルクスは資本主義を辛辣に批判する一方で、垣根を壊して世界的規模の生産体制と消費システムを作り出す資本主義の力に畏敬の念を抱いていた。資本主義は封建的・国家的・宗教的帰属意識をすべて解体する力であり、市場の必要性に律される世界共通の文明の勃興をもたらす、と『共産党宣言』に記している。
フラット化する世界では、国家や地域への帰属意識、統治の仕組みなどは摩擦を生み出す無駄でしかないのか。市場がフラット化されるように、統治の仕組みもフラット化されていくのか。考えがまとまらないけれど、いろんな方向に妄想が広がる。
- 作者: トーマス・フリードマン,伏見威蕃
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/05/25
- メディア: 単行本
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