超ヤバい経済学
前作の「ヤバい経済学」ではデータを駆使して、大相撲の八百長や試験での不正など、ヤバい現実を明らかにした著者が、今回も身もふたもない人間の行動を見せてくれます。
17世紀まで多くの妊婦や赤ちゃんの命を奪った産褥熱の原因が、死体解剖の後に手を洗っていない当時のお医者さんからの感染だったとか、現在でも、忙しさにかまけて手を洗わないお医者さんが沢山いることを、調査データに基づいて示していきます。そして、手を洗うようにどうやって動機づけることができるのか、教育なのか、ご褒美なのか?いろいろやってみてもうまくいきません。一番効果があったのは、洗っていない手を押し当てた寒天培地で繁殖した菌の画像を強制的に、全員のパソコンのスクリーンセーバーにインストールすることだったそうです。
個人的にちょっとショックだったのは、子供を車に乗せるときに使うチャイルドシートによる死亡率を下げる効果が、シートベルトと比較してまったく変わらないという統計データ。いやいや、高い金だして買って、装着するのに四苦八苦して使っていたチャイルドシートが役に立っていないとは驚きました。
ほかにも、地球温暖化を効果的にびっくりするくらい安いコストで防ぐ方法、人は生まれつき思いやりがあるのか、貨幣を使うサルのお話など、行動経済学や実験経済学の最新の知見を興味深いエピソードで紹介していきます。

- 作者: スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2010/09/23
- メディア: 単行本
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