異端の統計学ベイズ

ベイズ統計というのは今から200年ほど前にイギリスのベイズという人が編み出した考え方だ。

ベイズのシステムは概念としては単純だ。客観的な情報を得て自分の意見を変えるだけのことで、つまり「当初の考え+最近得られた客観的なデータ=より正確な新たな考え」、と表すことができる。

もうすこし難しくいうと

事後確率は、事前確率と尤度の積に比例する

ある事象が起こる確率の推定を、自分の主観に基づく確率からスタートして、そこに随時得られる客観的なデータを加味して修正する作業を何回も繰り返して、どんどん精度を上げていくという考え方らしい。

今までに一度も起こったことがない事象や、何度も試行して頻度をたしかめることができないような事象の確率を推定する時に非常い有効な考え方だそうだ。砲撃の精度を向上、第2次世界大戦でドイツ軍の暗号解読、誤って爆撃機からおとした水爆の捜索、スペースシャトルの事故発生の確率の計算など主に軍事面で活用されることが多かったが、コンピュータの普及により誰もが膨大な計算をすることができるようになると、選挙予想、農業、医学、生物学、経済学などあらゆる分野で応用されるようになる。機械翻訳スパムメールの除去、自動車の自動走行の裏でもベイズ統計が応用されているそうだ。さらには、事前確率を直近の情報でどんどん更新していくというベイズ統計の考え方が、人の認識・思考プロセスに近いことから、今後は人工知能に応用されるのではないかというのが著者の見通しです。

この本は、誕生してすぐに忘れさられ、軍事面で活用されたが故に一般には秘密にされ、事前確率を主観から始めるため科学的でないと正統派の統計学から批判されるなど、不遇の時代が長く続いたベイズ統計の200年の歴史をたどります。馬にもわかるような理論の基本的な解説がないので、統計学の素養がない私には、もどかしい面もありますが、読み物としては面白いです。


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史上最強図解 これならわかる!ベイズ統計学

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