日本の200年 徳川時代から現代まで

アメリカの歴史学者アンドルー・ゴードンが、1,800年から2,000年までの200年の日本の歴史をまとめた本。


明治維新も、文明開化も、戦争に突き進んだ過程も、戦後の驚異的な経済発展も、どれも世界中で起こった経済や政治の流れの一環であり、安易に日本人の特性や日本の文化の特殊性に結びつけるべきでない。というのが著者の考え。

日本が味わってきたさまざまな経験は、たしかに興味深いがさほど例外的なものではない、ととらえるべきだろう。日本の経験は、近代性と豊かさとの取り組みという、ますますグローバル化しるるあるテーマの、他とはちょっと趣を異にするひとつの具体的な表れだったのである。


例えば、国家への忠誠心は、もともと江戸時代の人々に備わっていたものではないといいます。江戸末期に欧米列強から開国を迫られる過程で、外国との対比の上で日本という国を意識するようになる。その後の義務教育や徴兵制、税の制度、在郷軍人会や青年団などの社会制度、人々の生活を国家に直接結びつけようとする、数十年にわたる政府のさまざまな施策によって、国民意識、国家への忠誠心が強化された。その過程は、欧米の国民国家成立の過程とそんなに異なるものでないといいます。


戦後の奇跡とよばれるような経済成長も、アメリカがソ連との冷戦を有利に進めるためにかつての敵国に最新技術情報を開放したり、経済援助を行ったことで加速されたものであって、ドイツもイタリアも同じような経験をしていると指摘します。


外からの冷めた目で、歴史を見ることも大事だと思う。

日本の200年[新版] 上―― 徳川時代から現代まで

日本の200年[新版] 上―― 徳川時代から現代まで

日本の200年[新版] 下―― 徳川時代から現代まで

日本の200年[新版] 下―― 徳川時代から現代まで