原始仏典 第二巻 長部経典2
原始仏典の第二巻。第十六経、大般涅槃経にはブッダが旅の途中に病気になって亡くなるまでの様子が綴られている。その中で、いつもブッダの側にいる弟子のアーナンダに、ブッダがこう言う。
アーナンダよ。修行を完成した人は、四つの不思議な霊力を修し、大いに修し、車のように修し、家の礎のように堅固にし、実行し、完全に積み重ね、みごとになしとげた。かれは、もしも望むのならば、寿命の或る限りこの世に留まるであろうし、あるいはそれよりも長いあいだでも留まることができるだろう。
死が近いことをほのめかしたそうだ。それにもかかわらず、アーナンダは察することができなくて、「尊い方よ。尊師はどうか寿命のある限り、この世に留まってください。」と尊師に懇請することをしなかった。
そして、ブッダは望めば寿命を超えて生きていくことも出来たのだけれど、修行が完成したので永遠の生を手放すことを決断する。アーナンダに対しては、「なんども死をほのめかしたのに、お前が、どうかこの世にとどまってください。と言わないから死ぬことにしたのだ。」と言う。
ここのところがよくわからない。生きることに執着するなということなのか。それにしても、アーナンダにとっては、つらい言葉だと思う。
第二十二経 大念処経「心の専注の確立」では、墓場で死体を観察する話がでてくる。
またさらに、修行僧たちよ、修行僧は、ちょうど墓場に棄てられた死体が、死後一日、あるいは二日、あるいは三日と経つうちに、膨張し、青黒くなり、腐ってくるのを見るように、かれはこの身体を『この身体も、このような性質のものであり、このように成るものであり、このような運命を免れえないものである』と見るのである。(中略)
またさらに、修行僧たちよ、修行僧は、ちょうど墓場に棄てられた死体が、カラスに啄まれ、あるいは鷹に啄まれ、あるいは鷲に啄まれ、あるいは犬に食い荒らされ、あるいは野犬に食い荒らされ、あるいは種々の虫に食われているのを見るように、かれはこの身体を『この身体も、このような性質のものであり、このように成るものであり、このような運命を免れえないものである』と見るのである。(後略)
と段々変化して、最後には骨がくだけて白い粉になるまで観察する。こうすることで、ただ身体のみが存在するという思いが現れ、この世の中で、なにかに依存するということなく、なにものにも執着しなくなる、と説きます。
死体の表現があまりにも真に迫っていて驚く。多分本当に、こうやって観察していたんだろうと思った。
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