ナノフューチャー 21世紀の産業革命

この前読んだ 「人口知能 人類最悪にして最後の発明」の中に、人工知能が発達し特異点を超えると、人間の制御が及ばなくなった人工知能が勝手に自己再生型のナノテクマシーンを操るようになり、それらが手当たり次第に分子を組み替えて地球上が「グレイ・グー(=灰色のベトベトしたもの)」で覆い尽くされる。とあった。

 人工知能 人類最悪にして最後の発明 - benton雑記帳

 

ナノテクノロジーという言葉はよく耳にするけれど、そんなに恐ろしい技術なのか、きちんと知っておきたいと思いこの本を手に取った。

 

まず、著者はナノテクノロジーを段階Ⅰから段階Ⅴの5段階に区分する。

 

段階Ⅰは、走査線プローブ顕微鏡などで原子レベルの画像を得るとか、走査プローブを使い原子をすこし動かすというような、基本的に既にある技術。そこから始まり、最終的な段階Ⅴでは原子一個ずつを組み合わせて、物質を自由に生成できるようになる。

 

そうなると何ができるか? 

 

例えば、家庭用物質生成機に炭素と水素さえセットすれば、食料でも衣服でも、分子レベルから組み立てて作り出すことができる。ほこりぐらいの大きさの、外部からの指令で自由に動くことができて、色も変えられる粒子を大量に作り霧のように部屋の中に漂わせて、その霧に遠くにいる人の姿を再現させることで3次元のバーチャールリアリティを実現できる。

 

自己再生するナノマシンが地球を覆い尽くす話もでてくる。大気中の二酸化炭素から炭素を取り出して、自分と全く同じもの作り出し続けるナノマシンの話だ。大きさはほこりよりも小さいので大気中に浮遊する。悪意を持った組織がこれをバラまいて、指数関数的に増えて地球を覆い尽くす可能性もあるといいます。

 

このような危険性はあるけれども、著者はナノテクノロジーの開発を禁止すべきではないといいます。禁止したところでこれだけのインパクトのある技術は、軍であれ企業であれ誰かが密かに開発するに決まっている。誰かに独占されるよりもオープンにしたほうがいいという立場です。

 

技術的には可能なのだろうが、正直言っておとぎ話のようで私にとって現実感がなかった。原著が出版されてから10年が経過しているのだけれど、どこまで技術は進んでいるのだろうか。

ナノフューチャー―21世紀の産業革命

ナノフューチャー―21世紀の産業革命