春 その1
仕事帰りに職場の同僚と反省会と称して寺町にある中華料理屋さんで晩ご飯を食べる。店を出て、一人分かれてぶらぶら歩く。咲き始めた桜を眺めながらW坂を下り犀川の河川敷に出る。めっきり暖かくなった春の夜風が心地いい。この春のひと時を迎えるために、じめじめした冬の3ヶ月があるんじゃないかと思う。
今晩はまっすぐ家に帰ろうと決心して歩いてきたが、片町にたどり着くとどこか寄り道したくなった。新しい年度の初め、初めてのお店に行ってみよう、気になっていたけれど敷居が高そうで行けなかったバーに行ってみることにした。2回くらいお店の前を行ったり来たりしたあと、意を決して思い切ってドアを開ける。
時間が早かったのか他にお客さんはいない。カウンターの一番手前に座る。シングルモルトを何かロックでとお願いして店内を見回す。大理石のカウンター、ゆったりした椅子、磨き込まれたボトルを収める戸棚。出されたグラスも相当いいもの。
しばらくすると、常連さんと思しき40歳代半ばの男性が入って来てマッカランの17年を呑みながらマスターと話しだす。ぶしつけに話に割り込んで行くのは失礼かと思うのだが、全く知らないふりするのもつっけんどんのような気がするので、それとなく聞いてますよという感じをだしつつ話にうなづいたりしてみる。話の様子ではどこかの会社の社長さんのようだ。
落ち着いたいい雰囲気のお店でした。マスターとはあまりお話できなかったので、あと2、3回通ってみようか。