女盗賊 プーラン
30年くらい前のインドのお話。実在の盗賊の首領 デヴィ プーラン本人から自身の壮絶な生い立ちを聞き取りしてまとめた本。
プーランは読み書きができない。彼女は、マッラという漁民が所属する身分の低いカーストの貧しい家に生まれる。父親は親戚に土地を騙しとられて、生活は食うや食わずの最低レベル。プーランは口べらしのために11歳の時に35歳の男と結婚させられる。しかし、その家で虐待をうけ実家にもどる。戻ってきたものの生まれ故郷の村でも離婚した女性は周囲から冷たい目を向けられる。親戚とのトラブルがもとで家族は村八分、共同井戸も使わせてもらえない。プーランも周囲の男性や警察から暴行を受ける。そして親戚の差し金で盗賊に誘拐される。
盗賊にさらわれこのまま殺されるのかと思いきや、盗賊の首領に救われ、盗賊にの一員になる。そして、彼女の復讐がはじまる。
カーストが違うと人間扱いされないという、インドの社会問題の深刻さに重たい気持ちになる。最近でも女性が嫁いだ先の家で虐待をうけたとか、低いカーストの女性が集団暴行を受ける事件が発生しいている。生きることが苦しみの根源、全ては移ろいゆくものと釈迦が説いた背景にもなっているように思う。