パウドリーノ
ウンベルト・エーコのヨーロッパの中世を舞台にした小説。1150年から1200年頃の神聖ローマ皇帝、フリードリッヒ・バルバロッサのイタリア遠征、第4回十字軍によるコンスタンティノープルの略奪あたりを扱っている。
イタリア北部のアレッサンドリアで生まれた、パウドリーノという農民の子供が、イタリア遠征中の、フリードリッヒ・バルバロッサに森の中で出会い、臣下としてもらわれていくところから話が始まる。パウドリーノはパリで遊学し、類い稀な言語能力を駆使して手紙を偽造するわ、聖遺物をでっち上げるわして皇帝の信頼を得ていく。そして皇帝をそそのかして、イスラム教諸国のさらに西側にあるという、聖ヨハネが治める王国へ旅に出る。
ウンベルト・エーコの豊富な知識を背景に、中世の農民生活、皇帝の暮らし、都市の攻防戦が微に入り際に入り描写される。後半の、聖ヨハネの国を目指しての冒険旅行では、想像上の異形の動物、化け物が登場してお伽話のような展開になる。
神聖ローマ帝国の歴史や十字軍の経路、ネストリア派のキリスト教とのことなどを調べながら読んだ。私にとって、あまり馴染みがない中世ヨーロッパの歴史を知る良いとっかかりになりました。
- 作者: ウンベルト・エーコ,Umberto Eco,堤康徳
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