チェスの話 ツヴァイク短篇選

 ドイツの作家、ツヴァイクの短篇集。「目に見えないコレクション」、「書痴メンデル」、「不安」、「チェスの話」の4話。

 

「チェスの話」は、ニュヨークからアルゼンチンに向かう客船の中で、チェスの世界チャンピオンとある男がチェスをする話。その男はナチス支配下のオーストリアから脱出してアルゼンチンに向かう途上。ナチスに捕まっていた時には、ベッドと机と椅子と戸棚のほかは、本も紙もペンも何もない部屋に数ヶ月も監禁され、尋問の時以外は他人と会話することを一切禁じられたいた。何か読みたいと看守のコートのポケットから本を盗んだが、その内容はチェスの解説本。本に書いてあるチェスの打ち手を頭の中でシミュレーションするが、時間はたっぷりあるのであっという間に全部覚えてしまう。仕方なく、一人で攻守に分かれて対戦する。紙もペンもないので盤上の駒の動きは全て頭の中。そうやって他人と一度も対局することなくチェスを覚えた男と世界チャンピオンとの戦い・・・・・。

 

機械学習と自己対戦でチェスを覚えた人工知能と人間の対戦みたいだと思いました。

チェスの話――ツヴァイク短篇選 (大人の本棚)

チェスの話――ツヴァイク短篇選 (大人の本棚)