能はこんなに面白い!

時々、休日の午後に能楽堂に出かけて、椅子に座って半分居眠りしながら能を見る。謡の内容もよくわからないけれど、その場の雰囲気に浸っているのが心地よい。先日も金沢能楽会の定例能で「翁」を見てきた。いつもより豪華な衣装を着たたくさんの人が舞台に上がってにぎやかだなぁと思っていたら、「翁」は能の中でもお正月などの特別な時にだけ上演される演目だそうだ。

 

もう少し能のことについて知りたいと思いこの本を手に取った。著者の内田樹は評論家で武道家。観世流の能の稽古を20年くらい続けているそうだ。内田さんが観世流のお家元、観世清和さんと対談しながら、能をやっている人の立場から能の魅力を語る。「舞台の上は、場所によって空気の密度が違う。演者はその違いを感じながら舞う。」、「能は中世の人々の身体操作技法を現在に伝えている。」など実際にやっている人ならではのコメントが興味をそそる。舞台上でシテが倒れた場合には後見人が即座に引き継いで能を最後まで舞わなければいけないということも初めて知った。

 

今度は、しっかりストーリーやセリフを予習してから見に行ってみよう。全く知らない人にとっての入り口としてお手頃な本です。

能はこんなに面白い!

能はこんなに面白い!