岩波講座 日本歴史 第3巻 古代3

天智朝、天武朝から奈良時代の終わりまでを扱う。

 

律令制のところで「公廨」という言葉が出てくる。「くがい」と読む。もともとは、官衙の建物を指していたが、そこから官衙の収蔵物、収入を指すようになり、官人の給与に当てる収入を指すようになる。公廨稲といえば主に国司の収入を補填するために国司に無利子で貸し出す種籾を指す。

 

「廨」という言葉は現代のお役所でも使われている。役所の出先機関のうち出納業務を取り扱う機関を指す。つまり歳入のある出先機関だ。初めてこの言葉を見かけたときは何て難しい言葉を使うのかと思ったけれど、律令制から綿々と使われ続けられてきた言葉かと思うとなんだか大変ありがたい。

 

唐と日本の律令制の比較で面白かったのは、唐の官人への給与は、身分に対して支払われるのに対して、日本の場合は勤務日数に応じて支払われる性格が強いという点だ。この頃から、長時間働く人の評価が高かったのかい、と突っ込みたくなるプレミアムフライデーでした。

古代3 (岩波講座 日本歴史 第3巻)