プラハの墓地

「シオン賢者の議定書」という20世紀初め頃に流布され、世界中に大きな影響を与えた文書がある。史上最悪の捏造文書とも言われるもので、ユダヤ人の指導者たちがプラハの墓地に集まって行った秘密会議の内幕を描き、その会議で、ユダヤ人が世界支配を目指すことを確認したという内容だ。

 

世界各国で翻訳され、 ナチスユダヤ人迫害にも影響を与えたと言われている。日本語にも翻訳され、戦前、戦後の日本人のユダヤ人観にも影響を与えている。

 

この「プラハの墓地」はウンベルト・エーコが「シオン賢者の議定書」が、主人公のシモーネ・シモーニによって捏造される過程を19世紀末のイタリア、フランスの実際に起こった事件を織り交ぜながら描いた小説。主人公以外の登場人物は全て実在の人物だ。

 

○○人は〜だ。とか○○県民は〜だ。というようなものの言い方には気をつけたい。○○人という括りに、合理性があるわけでもなく、それぞれが信じたい都合のいい内容を繰り返し言っているに過ぎないことが多い。もちろん全員に当てはまるわけもない。引っ込み思案のアメリカ人、きっちりしてないドイツ人はいる。

 

特定の集団にある一定の傾向があるにしても、それが素晴らしいとか、ダメだとか一概に言えるわけでもない。いい面があればそれと裏腹に悪い面が必ずある。

 

どこの国もそこそこ同じくらいと考えておけば間違えることもない。

 

プラハの墓地 (海外文学セレクション)