情報と秩序

 経済というと、富を蓄積する、あるいは富を配分する方法を考えることを思い浮かべる。

 

しかし、この本の著者、セザー・ヒダルゴは、情報やノウハウを生み出してそれを製品という形で具現化することが経済活動だと定義する。ジェット旅客機やスマホなどの複雑な製品を次々と考え出し生み出せる地域が、活発な経済活動が行われていると考える。例えば、GDPが同じだとしても、石油や鉄鉱石などの資源を掘り出して輸出している国よりも、そこの国でしか作れないノウハウを詰め込んだ工業製品を輸出できる国の方が経済活動が活発なのだ。

 

製品を生み出す、情報やノウハウは高度に、複雑になればなるほど、個人だけで全部を考え出すことはできず、個人の集団である企業が保有することになる。しかし、航空機やスマホのように複雑なものは、1企業だけで全体を維持できない。分割して多くの企業のネットワークが支えることになる。経済活動を活性化するためには、いかに大規模な企業のネットワークを構成できるかにかかってくることになる。

 

大規模なネットワークを構築するためには、企業間の取引コストが低いことが必要であり、それを左右するのが人々の間で信頼関係があるかどうか、つまり社会関係資本ソーシャルキャピタル)が充実しているかだという。

 

経済活動を、情報を生み出す計算だと考える。複雑な計算をこなすためにには大規模で複雑な個人や企業のネットワークがあることが大事。

 

地域の経済を活性化するためにもいろんな人がああでもない、こーでもないと情報をやり取りする場が必要ということなのだろう。この辺を手掛かりにもう少し考えてみたい。

情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて

情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて