負債論 その2

 著者は富の配分には3種類の方法があるという。

 

1つ目は、「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る。」という共産主義的な方法。いやいや、共産主義なんて今更ないやろと思ったが、よく考えてみると家族の中や、親しい友人同士、会社の組織内の小さな集団の中では、できる人が引き受けるというやり方はよく見受けられる。日々の業務では手の空いている人がチーム全体をみてカバーするというやり方ができないと仕事がうまく進まない。

 

2つ目は、身分や地位に応じて慣習として決めてしまうという方法。王様に毎年貢物をするなど。税金はこの範疇に該当するのだろう。

 

3つ目は互酬。物々交換やお金でものを買う方法。直接交換しなくても、この前はお隣さんから野菜を頂いたから、今回はお魚を持って行こう。というような貸し借りの関係もこれに含まれる。

 

イヌイットの社会では、他人にご馳走してもらってもお礼を言ってはいけないという話が本書の中にある。ご馳走する人は1つ目の、できる人がご馳走するのが当然という考え方でいるのに、お礼を言われるいうことは、ご馳走する人とされる人の関係が、2つ目の身分の違いや、3つ目の貸し借りの関係に変節してしまうので、それを避けるためだ。

 

何年か前に職場の仲間と韓国に行った時に、韓国のさる偉い方に晩御飯をご馳走になった。その時にも、ご本人にご馳走されたお礼を言ってはいけないと言われた。その時は何故なのか理由がよくわからなかったけれど、同じようなことなのだろう。

負債論 貨幣と暴力の5000年

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