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クリミア戦争 上

 クリミア戦争は、イギリス、フランス、オスマン帝国対ロシアの戦争で、1853年から1856年にかけてロシアのクリミア半島ドナウ川河口域などを戦場として戦われた。騎士道精神に則り、ある意味牧歌的に戦われた最後の戦争であるとともに、国民国家が総力を挙げて取り組む、初めての近代戦であるという側面もあるそうだ。

 

この本は、まず最初の4章で、19世紀前半の宗教紛争の状況、民族問題、国際情勢など、戦争に至る背景を丁寧に紹介する。当時オスマン帝国の領土であった、エルサレムバルカン半島における、カトリックロシア正教イスラム教の三つ巴の争い。ロシア領土拡張政策に対する、イギリス、フランス国内での露脅威論の盛り上がり。クリミア半島でのタタール人とロシア人の争い。現在まで続く、宗教紛争や民族紛争の始まりが、多民族国家で宗教に比較的寛容であったオスマン帝国の衰退とともに顕在化している。クリミア戦争のころから20世紀を経て現在まで、ロシアがソ連になったりしたけれど、紛争の構図はほとんど変わっていないことがよくわかる。

 

上巻では、国際情勢の説明と開戦からセヴァストボリの包囲戦いが始まり1854年の冬に入るところまでを扱う。

 

クリミア戦争(上)

クリミア戦争(上)