中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末中華民

清の末期から日中戦争までの巻。
 
この巻で印象に残ったのは、1936年12月の西安事件だ。これは、共産軍掃討にあたっていた張学良らが、視察にきた蒋介石拉致監禁し、共産党討伐の停止を認めさせた事件だ。蒋介石は拉致された後も、強硬に共産党討伐の停止を受け入れなかったが、共産党周恩来蒋介石婦人の宋美齢らによる開放交渉で国民党による共産党討伐停止が合意され、蒋介石が開放される。交渉の中で蒋介石周恩来が直接会っている。
 
不思議なのは、蒋介石に対して謀反を起こした張学良が、解放された蒋介石についていき南京まで行ったことだ。当然、張学良は南京で逮捕、軍法会議にかけられる処刑が決定される。わざわざ処罰されるために自ら南京にいったようなものだ。張学良は、その後、罪を減じられ軟禁される。国民党が台湾に渡ってからも台湾で軟禁され続け、2001年にハワイで亡くなっている。
 
西安事件で何が話し合われたのか? 蒋介石、張学良を含め関係者は、詳しいことは何も語らず真相は闇の中。
 
1990年にNHKが張学良にインタビューしている。その一部がYouTubeにアップされている。蒋介石周恩来の直接会談について詳細を聞かれると、張学良は断固とした態度で、もうその話は止めましょうと言っている。
その後の、日中戦争共産党と国民党の勢力争いの行方に決定的な影響を与えた事件だけに、何があったのか気になる。