Invent & Wander ージェフ・ベゾス Collected Writings

株主に送った手紙や、大学の卒業式でのスピーチなど、アマゾンの創業者 ジェフ・ベゾスが書いた文章をまとめた本。
 
ジェフ・ベゾスは、大事なことを最初からずっと言い続けている。創業間もない頃の株主への手紙1997年の「長期がすべて」では、インターネットでの書籍販売というこれまでになかった新分野でトップに立つために、長期的な視点で大胆に投資をし続けていく。「もし決算報告の見栄えをよくするか、将来キャッシュフローの現在価値を最大化するかの二者択一を迫られたら、キャッシュフローを選びます。」と断言する。そして、もしこの方針が気に入らないのなら、他の会社に投資してくださいと。
 
1998年の手紙「こだわり」では、世界で最もお客様中心の企業を築くと断言、お客様は品揃えの豊富さ、使いやすさ、低価格、サービスの便利さを評価してくれているのだから、これらを達成するために巨額の投資を続けていくこと断言する。とにかく便利に安くを実現するために、赤字になってでも投資していく。マーケットが巨大なので、売上拡大して固定費を回収できるようになれば、後で利益がついてくる。
 
書籍は品数が多いので、リアルの店舗ではその全てを陳列することはできないけれど、ネット通販ならできる、それにほんなら在庫が腐ることもない。という今思えばごく当たり前の素直な考えで、ネットでの本の販売を始め、後はお客さんの安く、早く、便利にを実現するために、最初は、赤字覚悟で市場での優位を確立するために巨額の投資を続ける。サーバーやシステムは固定費なので売上高が一定の規模を上回れば、利益は必ずでるという目論見だ。
 
愚直に、この方針に従って運営して今の巨大ビジネスになったのだ。振り返れば、何ということのない、あっけないくらい素直な戦略だ。もちろん、
実際にそれをやりきった人が他にいなかったのだろう。
 
私は、1995年にサンノゼに住んでいた。そもそもアメリカは本屋が少なかったのと、本屋の配置がわからず、縦になった背表紙のタイトルを判読するのが大変だったので、Amazonの噂を聞いて何度か使ったことがある。当時から、運送中の荷物がどこにあるのかトラッキングできるようになっていて便利だった。この本によれば、当時はベゾス自身が、ガレージで商品の箱詰めと発送をしていたらしい。