Invent & Wander ージェフ・ベゾス Collected Writings

株主に送った手紙や、大学の卒業式でのスピーチなど、アマゾンの創業者 ジェフ・ベゾスが書いた文章をまとめた本。 ジェフ・ベゾスは、大事なことを最初からずっと言い続けている。創業間もない頃の株主への手紙1997年の「長期がすべて」では、インター…

家をつくる

ツイッター上で紹介されているのを見て、名前と表紙のたたずまいに惹かれた。著者の王澍さんは中国人の建築家として初めて建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞をとったというのも興味を惹かれた。1963年生まれと私と年代も近い。 内容は著者の建築に…

中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末中華民

清の末期から日中戦争までの巻。 この巻で印象に残ったのは、1936年12月の西安事件だ。これは、共産軍掃討にあたっていた張学良らが、視察にきた蒋介石を拉致監禁し、共産党討伐の停止を認めさせた事件だ。蒋介石は拉致された後も、強硬に共産党討伐の…

中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元

講談社学術文庫の「中国の歴史」は、各巻の著者が各自の専門領域への思い入れたっぷり注ぎ込んで、担当の時代を語ってくれるので、各巻ごとに個性があって読み物としても面白い。 第8巻は、中国の王朝の名前でいうと元の時代。著者はそこに至るまでの北方の…

中国の歴史7 中国思想と宗教の奔流 宋朝

第7巻は宋の時代のお話。日本の伝統文化と呼ばれるもののルーツの多くは宋の時代にあることがよくわかった。例えば、禅や阿弥陀信仰などの鎌倉仏教、儒教の教え、抹茶を飲むこと、皇后陛下が宮中で養蚕を手がけているように、稲作と養蚕を農業経営の基本と…

円仁(えんにん) 唐代中国への旅 「入唐求法巡礼行記」の研究

中国の歴史6 で参考文献として紹介されていたので読んでみた。 天台宗の僧、円仁(後の慈覚大師)は、838年に最後の遣唐使として日本を出発する。密教の聖地である天台山を参拝し最新の密教を学んで2年程度で帰国する予定だったが、実際に戻ったの84…

中国の歴史6 絢爛たる世界帝国 隋唐時代

中国の中高生は、歴史の勉強で覚えることたくさんあって大変だということを実感する。隋の時代といえば、日本では推古天皇とか聖徳太子の時代。ようやく文字による記録がある程度まとまって作成され、日本の中高生はこのあたりから年代や人物名を覚えなけれ…

それでも日本人は「戦争」を選んだ

岩波新書の「満州事変から日中戦争へ」がおもしろかったので、加藤陽子さんの「それでも日本人は戦争を選んだ」を読んだ。この本は、歴史好きの高校生を相手に、日清戦争、日露戦争、第1次世界大戦、満州事変と日中戦争、太平洋戦争について、5日間の講義…

祖父の戦争

一人暮らしの母の生存確認にのため、月に一度は週末に母に会いに行って実家に泊まるようにしている。土曜の夕方に実家へ行って、一緒に晩御飯食べて、テレビ見ながら夜を過ごし、翌日の午前中に庭の草むしりや窓ガラスの掃除など、母一人ではこなしきれない…

中国の歴史

講談社学術文庫の「中国の歴史」を読んでいる。全部で12巻まであるうちの第4巻「三国志の世界 後漢 三国時代」の半分まで到達した。 中国の事はある程度知ってるつもりでいたけれど、全然わかっていないことに気づきました。夏、殷、周、春秋戦国時代、秦、…

開高健電子全集

暇つぶしに開高健の電子版の全集を、思いつくままに買って読んでいる。 岩波文庫で、芥川賞をとった「裸の王様」や「パニック」を読んでみたら、なんで今まで読んでこなかったんだろ、と後悔するくらい面白かった。パニックでは、木っ端役人のオヤジの貧乏く…

予測不能の時代 データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

「データの見えざる手」から5年、矢野和男さんの新著がでたので早速読んでみた。 データの見えざる手では、従業員ひとりずつにセンサーをつけて、各人の体の動きから活動量をリアルタイムで記録し、誰と誰がどのくらいの時間会っていたかも記録することで、…

欲望の錬金術 伝説の広告人が明かす不合理のマーケティング

経済合理性だけを重視して行動するのを止めませんか? というのが本書のテーマ。冒頭にレッドブルが例として取り上げられる。変な味がして、量が少なくて、値段が高い飲料がどうして世界中で年間60億本も売れるのか。合理的に考えれば、美味しいものを、た…

収容所のプルースト

思えば石引パブリックの本棚で、この本「収容所のプルースト」を見つけたのが3年前。第2次世界大戦中にソ連の強制収容所に入れられたポーランド人将校が、極寒の収容所内でプルーストの「失われた時を求めて」について、本もノートもなしに記憶だけを頼りに…

開高健 電子全集1 漂えど沈まずー闇三部作ー

岩波文庫の「開高健短篇選」が面白かったので、開高健をまとめて読んでみようと、電子書籍でまずは「闇三部作」を購入した。 闇三部作とは、1968年に発表された「輝ける闇」、1972年「夏の闇」、没後の1990年に未完のまま発表された「花終わる闇…

ブッダが説いたこと

著者のワールポラ。ラーフラは、スリランカ生まれの僧侶。子供の頃から僧侶としての教育をうけ、僧侶として活動するとともに、セイロン大学、カルカッタ大学で学び、フランスのパリ大学へ留学し、フランス人の仏教学者ポール・ドゥミエヴィルのもとで近代的…

ラッセル幸福論

バートランド・ラッセルが一般の人向けに書いた、どうやったら幸福に暮らせるのか、について、非常にわかりやすく、実践的に解説した本。 まずは、不幸の原因を指摘する。 ・どうせ人は不幸にならざるを得ないのだというような、諦めた見方。 ・他人に負けた…

開高健短編選

開高健といえば、私の学生時代に週刊プレイボーイで「風に訊け」という人生相談のようなものを書いていたことが思い浮かぶ。サントリーの広報部員だったとか、釣り関連の本があるのも知ってはいるけれども、一度も著書を読んだことはなかった。 この本には、…

ブルース・チャトウィン

ブルース・チャトウィンの「パタゴニア」は、学生時代に、大阪梅田の紀伊國屋書店で偶々見つけて、タイトルに惹かれて購入した。話題が盛りだくさんな割には、簡単な説明で、頭に内容が入りにくいなと思いつつ、我慢して最後まで読んだことを覚えている。読…

本を買いに福井まで

福井駅の近くにあった勝木書店が閉店になって、その店に在庫していた大量の岩波の本が、同書店の新二宮店に持ち込まれお店に並んでいると聞いたのが10月の始め。冷やかしに行こうと思ったのだが、なんやかやと踏ん切りがつかず12月になってしまった。 ww…

無形資産が経済を支配する

経済の停滞と格差拡大が長期に続いているのは何故なのか? この問題に対して、著者は、「投資における無形資産の重要性が増大しているから。そして無形資産の重要性が増しているにもかかわらず、既存の会計制度では無形資産の実態を把握することができず、ま…

道徳感情論

4年ほど前に購入して、何度も読み進めようとしたものの、毎回、100ページを過ぎたあたりで挫折しほったらかしになっていた。今回は不思議と調子よく読み進められた。 みんなが自分の利益のことだけを考えて商売をすることが、結果として社会全体に必要な物を…

コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画

コロナショックで、まず、飲食、ホテル・旅館、観光業の売上が一瞬にしてなくなり、ローカルビジネスが大打撃を受ける。それにより、耐久消費財の需要が大幅に落ち込み、自動車、家電などのグローバルビジネスも危機的状況に陥る。そこから、金融危機になり…

ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀

新自由主義経済学は、格差と引き換えに経済成長が進むことを約束していたが、現在は、成長率の減速と格差の拡大が同時に進行する状況にある。これを著者は「スタグネクオリティ」と呼び、現在の市場経済が解決すべき問題と位置付ける。 著者は「スタグネクオ…

建築の東京

出張で東京に行くと、東京駅周辺の変貌ぶりに驚く。特に丸の内側には超高層ビルが林立し、東京駅を見下ろす壁のようになっている。湾岸ではタワーマンションも次々と建設された。私が東京に住んでいた1990年代の印象とは全然違う。鉄道の新路線が開通し…

そして、みんなバカになった

橋本治が好きかどうかと聞かれると、ものすごく好きという訳ではない。なんでも根っこからひっくり返して考え始めるし、思いもかけない細かいところにこだわるので、いちいち説明が面倒くさいのだ。でも、1年に1度くらい、無性に読みたくなる。特に、これか…

宿無し弘文 スティーブ・ジョブズの禅僧

スティーブ・ジョブズが禅に入れ込んでいたのは有名な話だ。アップル製品の無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインは禅の考え方に通じるとも言われる。また、ある日本人のお坊さんを師匠のように慕い自宅に招いて様々なことを相談したり、1991年にヨセミテの…

迷うことについて

「隔たりの青」というタイトルのエッセイと、彼女の家族や恋人、友人のことをふりかえるエッセイとが交互につづられる。東欧から祖母がアメリカへ移民したあとの波乱の人生、ネバダの砂漠の一隅に引きこもる恋人を訪ねたこと、友人が自殺したことなど。 衝撃…

執念深い貧乏性

栗原康さんの本には中毒性がある。粗野でガサツな言い回しで、一見何ら関係のない体験談、例えば実家で飼っていた猫がおじいさんに捨てられたけれど、3日ほどで戻ってきた話、長渕剛の「Captain of the ship」歌詞の引用が続いて、安心していると話が急展開…

旅の効用 人はなぜ移動するのか

この本の著者、ペール・アンディションはスウェーデンの人。若い頃からバックパッカーとして旅を重ねて、旅をテーマにした小説やエッセイを書いたり、旅行雑誌を発行したりしている。インドのムンバイが好きで何度も通っている。ムンバイに滞在して市場や路…