中国の歴史7 中国思想と宗教の奔流 宋朝

第7巻は宋の時代のお話。日本の伝統文化と呼ばれるもののルーツの多くは宋の時代にあることがよくわかった。例えば、禅や阿弥陀信仰などの鎌倉仏教、儒教の教え、抹茶を飲むこと、皇后陛下が宮中で養蚕を手がけているように、稲作と養蚕を農業経営の基本とすることは、宋の影響だ。
 
遣唐使の廃止後にも、貿易に関わる商人や、最新の仏教を学ぶ僧侶などたくさんの人達が、宋を訪れ文物や情報をもたらしている。中国、更に広げてアジアの歴史の流れの中で、日本の歴史を位置づけてみると、同時代のアジアの動きが日本にも逐次影響を与えていることがよくわかる。
 
私個人としては、宋といえば青磁の名品を生み出した時代。東京国立博物館の馬蝗絆という茶碗が好きで何度見見にいっ。この茶碗は、かつて室町時代の将軍足利義政がこの茶碗を所持していたときに,ひび割れが生じたため,代わるものを中国に求めたところ,明時代の中国にはもはやそのようなものはなく,鉄の鎹でひび割れを止めて送り返してきたという。この鎹を大きな蝗に見立てて,馬蝗絆と名づけられたのだ。
 
馬蝗絆の写真(東京国立博物館