隋園食単

18世紀に南京の近郊の隋園と称する邸宅、庭を構えてそこで取れた食材でお客をもてなしていた、袁枚という人が料理について記した本。食材ごとの料理法のほか、料理するにあたっての一般的な戒めも書いてあります。

  1. 外に油を加うるを戒む→できあがりに油をかけるな
  2. 同じ鍋で煮るを戒む
  3. 耳餐を戒む→食材の能書きを自慢する。
  4. 目食を戒む→品数、量を自慢する
  5. (余計な細工)を戒む
  6. 停頓を戒む→出されたらすぐに食べる
  7. 材料の浪費を戒む
  8. 酒にふけるを戒む
  9. 火鍋を戒む
  10. 客に強いて勧めることを戒む
  11. 走油(油の流出)を戒む
  12. 型に嵌ることを戒む
  13. 混濁を戒む
  14. 間に合わせを戒む

個別の料理法については、実際に作っていないのでよくわからないのですが、ご飯とお粥についての箇所は、完全に同意します。

富貴の人の家で、菜をやかましく言って飯は一向かまわないのを往々見かけるが、あれは末を逐うて本を忘れた、真に笑うべきことである。私は汁かけ飯を好まない。それは飯の本味が失われるからである。(中略)飯の甘さは百味の上にある。味を知る者は飯さえ好いのがあれば、菜はなくともよいのである。

「むしろ人が粥を待つとも、粥に人を待たせてはなるぬ」(粥は出来るを待って、すぐ食わねばならぬ)」

おかずが美味しいお店でも、ご飯がうまく炊けてなかったり、炊いてから時間がたってたりすると、かなりがっかりします。

随園食単 (岩波文庫 青 262-1)

随園食単 (岩波文庫 青 262-1)