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セヴァストーポリ

セヴァストーポリ はクリミア半島の都市の名前。クリミア戦争(1853年~1856年)では、この都市を巡って激しい攻防戦が1年近く戦われた。この本は、トルストイがロシアの砲兵士官としてセヴァストーポリの戦いに従軍した経験をもとに、当時の戦場の様子を綴ったもの。

 

クリミア戦争徴兵制による国民総動員体制で、近代兵器が大量に投入された初めての戦争で、戦死者がそれまでに比べて飛躍的に増えた。負傷者の看護にナイチンゲールが活躍し、負傷者の命を救うために麻酔を使って手足を切断する外科手術が発達するきっかけともなった。戦争の詳細はこちら。

 

「セヴァストーポリ」には3つの話が収められている。一つ目は、まだ町に人が住んでいて活気があったころ、ひとりの兵士が明け方に町に到着して一日を戦場で過ごした話。「あなたは、右に曲がって進むとそこに居酒屋を見つけるだろう。」というように、読者が実際に戦場を体験しているような形で書かれているので、臨場感がある。二つ目の話は、砲台を巡る攻防戦。陣地に敵の砲弾が落下して爆発するまでの数秒の間に兵士が考えたことを詳細に描写するところが印象的。三つめはロシアが戦いに敗れて、セヴァストーポリから撤退する様子を綴る。

 

トルストイの作品を読むのは初めてだったが、町の様子や心理状態の描写など、言葉を操ることでここまで多彩な映像を見せてくれるのかと驚いた。私がいうのもおこがましいが、うまい。次は、「戦争と平和」を読んでみよう。

 

岩波文庫の復刻版なので漢字は旧字体。最初は読みにくいが想像力をフル活用すればそのうち慣れる。慣れると漢字の豊かな表情にうっとりする。体は體だ。今は使われなくなった言葉も注釈なしで平気ででてくる。7ページに「しっかり漕いでくれ、あのバッテラをぬいてやるべえ。」とある。このバッテラはもちろん〆鯖がのった押し寿司のことじゃない。「小舟」のこと。ポルトガル語が語源。江戸時代には小舟のことを普通にバッテラとよんでいて、明治時代に大阪の寿司屋さんがこのしろを乗せた寿司を作りこれが、小舟の形に似ていたからバッテラとよばれるようになったそうだ。

 

セワ゛ストーポリ (岩波文庫)

セワ゛ストーポリ (岩波文庫)