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洋食屋から歩いて5分

日曜日から続いていた脇腹の痛みの原因が帯状疱疹だと判明して、明るい気持ちで病院を出ると、雲ひとつない五月晴れ。犀川の河原にでも行って木陰でビールを飲みながら本を読もうと玉川図書館でそんなシチュエーションにふさわしい本を物色する。

 

難しい内容は頭に入ってこないだろうし、ぼうっとした頭でもすっと読める本はないかとエッセイコーナーへ。米原万理にしようか、椎名誠にしようか、永六輔もいいかと棚の前で思案していたら、片岡義男が目に入った。アメリカの食べ物の話とか、1950年から70年代に関するエッセイ集だろうとの見込みで中身を確認せずに借りた。

 

犀川河川敷の木陰で読んでみると、喫茶店文化が華やかなりし60年代に喫茶店をハシゴしながら原稿を書いた話や、街中でその頃通っていた喫茶店の店員さんと偶然出会った話。新宿ゴールデン街田中小実昌さんと夜通し飲み歩いた話、知り合いに紹介してもらった女性と十条で6回デートして、突然ふられて、ふられた後に銭湯に入って餃子を食べて帰った話など、ビールで集中力が散漫になった頭に心地よく入ってくる話ばかりで楽しめた。

 

「料理本の思想」では、著者のお薦めの料理本を3冊紹介している。その中の一冊が「土井善晴の定番料理はこの一冊」。いつものおかずが突然うまくなる方法という触れ込みだが、その内容は確かで信じていいと片岡は言う。土井善晴には「一汁一菜とでよいという提案」で料理研究家の常識をひっくり返す大胆な提案をした。この本も読んでみたい。

 

1950年から70年頃の貧しく、あつくるしく、アメリカに憧れていた日本に興味がある方におすすめ。

 

洋食屋から歩いて5分