アレックス

アメリカで働いていたときの同僚にアレックスというリトアニア出身の人がいました。


旧ソ連が崩壊したときに、難民としてアメリカに来たそうです。どういきさつで、アメリカに来たのか詳しくは聞いたことはありませんでしたが、リトアニアにいた頃は政府の経済関係の研究員をしていたとのことでした。シリコンバレーではAccountantとして働いてきたようで、なれない土地で生活大変だろうな思っていました。


年齢が近かったこともあって、オフィスの外の喫煙所で、煙草を吸いながら、お互いヘタクソな英語でよく話しをしました。だいたい、彼がぼそぼそしゃべっているのを私が「うーん、半分くらいしかわからん」と思いつつも、適当に相槌をうちような会話でした。


アレックス:なんで、アメリカ人は自分のデスクの周りに、家族の写真をたくさん飾るのか知っているか?


私:家族のことが好きだからじゃないの。日本人は、恥ずかしいんであんまりやらないけど


アレックス:自分は、奥さんがいて子供もいる、普通の人間だということ、怪しい人じゃないよということを、会社の人たちに見せるために写真を飾っているんだよ。お前も飾っとかないと、変な奴だと思われるぞ。


彼の机にも、奥さんと、小さい子供二人といっしょに写した写真が1枚だけ飾ってありました。