日常生活のなかの禅

題名からお気軽な入門書を期待していたのですが、がっつりと歯ごたえあります。期待以上の本です。禅関係の本は何冊か読みましたが、私にとってはこの本が一番わかりやすかった。

非己と関わっていく行為、あるいはそのプロセスが「自己」であると述べた。「自己」という一連の行為が一定のまとまり・形式に編成されて、「自分」と称されるのである。

自己という実体があるのではなく、他との関わりあい、自分以外のものへ向けての行為の束が自己であるということ。を繰り返し説きます。右手があるから左手がある。あなたがいるからわたしがいる。全ては他との関係のなかで、位置づけが決まっているだけ、確たる実体が最初にあるわけえないということです。


だから、「本当の自分」なんて最初からどこにも無い、ただ、その時その時の行為があるだけだということです。それから、「悟り」という目的地、ゴールがあるわけでもなく、日々、修行し続けていくことが悟りだといいます。

日常生活のなかの禅 (講談社選書メチエ)

日常生活のなかの禅 (講談社選書メチエ)