ビッグバン宇宙論 上

イギリスの科学ライター、サイモンシンが古代の宇宙論から、地球中心の宇宙論コペルニクス、ガリレオ、ケプラーニュートンアインシュタインの相対理論を経て、ビッグバン宇宙論までの歴史を辿ります。


手持ちの観測技術をうまく工夫して宇宙の大きさを測ってきたことがよくわかります。エラトステネスが、夏至の時に垂直に日光が差し込む井戸を使って、地球の大きさを概算する。次に、月食の時に、月が地球の影を横切る時間を測定して、月が地球のおおよそ4分の1であることがわかる。月の大きさがわかれば、月までの距離も計算できる。月の大きさと月までの距離がわかれば、地球と月、地球と太陽の角度を測定することで、太陽までの距離、太陽の大きさをもとめる。


惑星よりもずっと遠い恒星までの距離はどうやってはかるのか?近くの恒星であれば、視差を使うこともできるが、更に遠いものはどうするのか?変光星の明るさの変化の周期や、星の光の光学分析によって、多くの星や銀河がどんどん地球から遠ざかっていること、遠い星であればあるほど、より早い速度で遠ざかっていることがわかります。


ということは、時計の針を逆に回していくと、過去は宇宙の星たちはもっと狭い範囲にギュッと詰まっていたと推測されます。もっと時間を遡っていくと、宇宙は一つの点から始まり、爆発的に拡張していったことになります。


思考実験によって相対性理論を作り上げたアインシュタインでさえ、拡張し続ける宇宙という考えに違和感をかんじて、相対性理論の数式に宇宙定数を組み込み、静的な宇宙という従来の考えかたと辻褄を合わせようとします。

上巻はここまで、下巻も楽しみです。

ビッグバン宇宙論 (上)

ビッグバン宇宙論 (上)