折檻

東京国立博物館の平成館で開催中の「台北 國立故宮博物院」展に行ってきた。残念ながら翠玉白菜の展示は終わっていたけれど見応えあった。特に、汝窯の青磁輪花碗と青磁楕円盤は良かった。東洋館では、故宮博物院展に会わせて、馬蝗班と国宝の青磁下蕪花瓶も展示されていて、青磁好きにはたまらない内容だった。


書は全くわからないけれど、わからないながらにいいと思った。書いた人の手の動き、呼吸、気配が何百年の時を超えて伝わってくる。墨で紙に手書きして残すという方法は、電子データでは残せないものも伝わる。考えてみれば、数百年間保存できるというのもすごい。今ある電子データが数百年後に残っているかと思うとおぼつかない。


今回、南宗時代の折檻図軸を見て、折檻という言葉の由来を初めて知った。漢の時代に朱雲という人が、皇帝の政治に対する姿勢を強く諫めたところ、皇帝は怒り宮廷から追い出そうとしたが、朱雲が檻(てすり)につかまって抵抗したために檻が折れてしまう。その姿を見て皇帝が反省し朱雲の意見を受け入れたということが元になっている。折檻という言葉は、もともと正当な理由で目上の人に厳しく忠告することを意味していたが、今は、厳しくこらしめて虐待、体罰をするような意味になっている。折檻図軸は皇帝が、自分を戒めるために朱雲の故事を絵にして掲げていたものだそうだ。