機械より人間らしくなれるか? AIとの対話が、人間でいることの意味を教えてくれる
チューリングテストとは、
「機械には思考が可能か」という問いに答えを出すために、数学者のアラン・チューリングが1950年に提案した試験である。審判がコンピュータ端末を使って、姿の見えない「2人」の相手と5分ずつ、チャットする。一方は本物の人間(「サクラ」役と呼ばれる)、一方はAI。チャットが終わると審判はどちらが本物の人間か、判断する。もし、審判たちのうち、30%をだますようなAIがいれば、それはもはや人間と同様に思考し、意識を持ってい、ると考えていいだろう。
AIがチューリングテストをお明日するとは、この基準をクリアすることを指す。
この本は、著者のブライアン・クリスチャンがチューリングテストのサクラ役を務めるにあたって、どのようにふるまえば審判役に本当の人間であることをわかってもらえるのか、入念に準備する過程と本番の様子をまとめてある。
最近は、大量のデータをコンピュータに読み込ませて学習させる、ディープラーニングによって画像認識や自動翻訳の精度が格段に向上するなど、機械も相当かしこくなっているので、正確な知識をひけらかすだけでは、機械に太刀打ちできない。チューリングテストでは審判の質問に専門家が正確な知識で答えると逆にコンピュータだと思われてしまう恐れがある。
人間にしか出来ないことは、その場の状況から何かに気づくこと。そして、そこから、あらかじめ決められた手順(定石)から外れて自在な対応がとれること。と著者は言います。
会話の上での人間らしいふるまいとして、具体的に次のようなものを挙げている。
- 一貫したキャラクターに基づく発言
- その時、その場所でしかできない内容
- 思いもかけない話の展開
- 相手が発言している途中でかぶせるように話はじめたり、しばらく間をとってみたりと臨機応変の発言の間合い
- 「うーん」とか「えーと」というような感嘆詞
- 会話を盛り上げるために、発言にうめこむ手がかり(突っ込みどころ)とそれに乗っかって質問する、無視するなどのやり取り
普段の仕事中の会話が、これと正反対の機械でもこなせるような会話になっているような気がして、ぞっとしました。
機械より人間らしくなれるか?: AIとの対話が、人間でいることの意味を教えてくれる
- 作者: ブライアンクリスチャン,吉田晋治
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/05/24
- メディア: 単行本
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