バブルの思い出

世の中との折り合いがうまくつけられず、1年くらい大学にいかずにぶらぶらしてたけれど、さすがにこのままじゃまずいと思い、かといって大学に行く気にもなれず、リハビリがてらバイトでもしようと思ったのが、1989年の12月初め。人と会話するのが嫌だったので、宅配便の配送センターで荷物の仕分けのバイトを始めた。夜の10時から朝7時まで。お歳暮やらクリスマスプレゼントやらで一番忙しい時期で、仕事はハードだったけれど、体を動かすことの爽快さと、とりあえず人の役に立っていることの充実感で休みもせず毎日通っていた。

 

24日も仕事。出勤するため阪急電車の梅田駅を降りて、JR大阪駅に向かう動く歩道を行く。帰宅ラッシュの時間で、クリスマスケーキを持って家路を急ぐサラリーマンやパーティ帰りの人たち、仲よさげなカップル達が、動く歩道に鈴なりになってこちらに向かってくる。自分はこれから底冷えがする倉庫で朝まで仕事だというのに、みんなやけにご機嫌だ。

 

自分だけが世の中から取り残されてしまった、この先どうなるんだろうという不安感が半分とこんな人たちと一緒にされてたまるかという反発する気持ちが半分。職場に向かったことを思い出す。