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コザック ハジ・ムラート

カフカースコーカサス)地方での、ロシア人とコザックやチェチェンの人々とのかかわりを舞台にしたトルストイの小説です。1850年頃にトルストイが軍隊で勤務しカフカースに派遣されていたことがもとになっています。カフカース地方は黒海カスピ海に挟まれた地域で、世界で最も多様な民族が暮らしている地域と言われているそうです。

 

コサックというのは、15世紀ごろに今のウクライナを根拠に発生した盗賊やヨーロッパの没落貴族を中心とした軍事集団で、19世紀にはロシアの中で農民や貴族と並ぶひとつの階級になっていたようです。19世紀半ばにロシアがカフカースを支配するため正規軍とともにコサックを派遣し、チェチェン人と戦うという、今のあの地域の民族紛争と基本的には同じ構図です。

 

「コザック」は、莫大な財産を持つロシアの貴族オレーニンがカフカースのロシア軍に志願して勤務し、そこでコサック兵のルカーシカやエローシカおじ、コサックの女性たちと関わりながら貴族生活では感じることができなかった生きる喜び、自然の中で暮らす喜びを感じる。でも、コサックの人々とは生活背景があまりに違いすぎて分り合えないというようなお話です。

 

オレーニンはトルストイ自身で、「戦争と平和」で莫大な財産を相続しながらも、優柔不断でどうやって生きていいのか試行錯誤するピエールの姿にも重なります。

 

「ハジ・ムラート」は、チェチェン人のとある部族のリーダーであるハジ・ムラートが、イスラム教を信仰するシャミーリ軍とロシア軍のどちらにつくかで苦悩する物語。トルストイ晩年の作品です。

 

トルストイはその場の映像が目の前に広がるような描写が素晴らしい。基本的に明るいというか、ひねていない、いやらしいところがない、素直。読んだあとに幸せな気分になれます。

コザック ハジ・ムラート

コザック ハジ・ムラート

 

 

コサック―1852年のコーカサス物語 (光文社古典新訳文庫)

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戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

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