ヴェネツィアの宿

須賀敦子さんの本は「コルシア書店に仲間たち」、「ミラノ 霧の風景」、「霧の向こうに住みたい」と読んできました。その中では、この「ヴェネツィアの宿」が一番好きです。


父親との関係を主として、母親や家族、親戚との思い出について書いてあるので、自分に引き付けて話に入り込みやすいのでしょうか、子どもの頃から、イタリアに住んでいる頃、日本に戻って来た後まで、時点を自在に飛び越えて話が展開するのが読んでいて心地よいです。時を経て記憶が蒸留されてこそこんなふうに書けるのかと思いました。関川夏央さんの解説もいいです。

ヴェネツィアの宿 (文春文庫)

ヴェネツィアの宿 (文春文庫)