二人で紡いだ物語

著者は女性で初めて日本物理学会の会長になった、日本を代表するような物理学者の方です。彼女と夫との出会いから、結婚、育児、それらと研究との両立、自分の病気、夫との死別などのお話です。


どんなことがあっても、いつも前向きに取り組む方です。夫の赴任先のイギリスに付いていくために、イギリスの大学に直接手紙を書いて、奨学金を得て留学してしまうような人です。「自分はこんなにがんばったという自慢話ばかりなの?」と、最初はついていけない感じがしましたが、読み進むうちに、「やっぱり欲しい物は、自分で手に入れなきゃね」と共感しました。


人の半生を、こうやって一冊の本で読むと、自分の残り時間をあらためて意識させられます。定年まで働いたとしてもあと20年。著者の夫が病気で亡くなられたのが60歳。仕事のことでも、家族とのことでも、1日1日を大事にしたくなりました。


夫とのお別れの場面は少しウルッときました。

二人で紡いだ物語 (朝日文庫)

二人で紡いだ物語 (朝日文庫)