ミトコンドリアが進化を決めた

生命が単細胞から多細胞へのステップを踏み出した原因も、有性生殖の仕組みをつくったのも、アポトーシス(細胞の自殺)を司っているのも、老化の進行を決めるのも、みんなミトコンドリアだそうです。


ミトコンドリアはもともとは別の生物(細菌)だったものが、古細菌共生することで、効率よくエネルギーを得ることができるということで、古細菌の中に取り込まれてしまったそうです。これが、真核生物のはじまりとなったそうです。


細菌は、細胞膜を透して呼吸をしているため、得ることができるエネルギーは自分の表面積によって制約されます。大きくなれば表面積に比例して沢山のエネルギーを得ることができます。2倍の大きさになると、表面積は4倍になる=呼吸能力は4倍になりますが、体積は8倍、つまり体重は8倍になるので、体重あたりの呼吸能力は半分になってしまいます。


しかし、ミトコンドリアを体内にもつことで、表面積(=大きさ)に関係なくエネルギーを生み出すことができるようになり、大型化、多細胞化へと進むようになったそうです。


ミトコンドリアはほとんどの自分自身のDNAを、宿主の細胞の核へ引き渡してしまっていますが、呼吸に必要なたんぱく質をつくる少数のDNAは自分で保持しています。呼吸の現場(ミトコンドリア)に近いところで、状況に応じてすぐに呼吸を調整するために、そうしているそうです。呼吸はうまく調整しないと、活性酸素を生み出して細胞を傷つけてしまうとのことです。


老化防止のために活性酸素の影響を少なくしようと、抗酸化食品とかサプリメントを摂取しても、細胞のミトコンドリアに必要なタイミングで届けられないので効果は疑わしいそうです。鳥は、哺乳類に比較して細胞内に多くのミトコンドリアを持っているので、長生きするとのことです。


高校の生物の時間に習った細胞の仕組みが、こんなに面白い話につながっているとは。

ミトコンドリアが進化を決めた

ミトコンドリアが進化を決めた