まぐれ

投資で大儲けしたり、会社経営に成功するのは、投資家や社長の能力が優れているからなのか、たまたまに過ぎないのか? 著者は偶然=まぐれが関与することが大きいといいます。経営者の能力はもちろん高いほどいいのですが、それが全てではなく、まぐれで大金持ちになることが多い、そして偶然を自分の実力だと勘違いしてしまいます。


人間の脳みその構造上、合理的に確率でものを考えることができず、感情に動かされてしまうし、物事に因果関係をあてはめて、後付で物語を作ってしまいます。経済学での合理的な経済人の仮定がいかに実際と違うかを様々な例で説明していきます。


本書の大部分は不確実性を実力と取り違えるなよ、「吹き飛ばされる」ことがないように不確実性に備えろよ、というお話ですが、最後に、不確実性も悪いことばかりではないといいます。

幸せの研究によると、何かをたのしもうというとき、最適な楽しみ方をしようと自分にプレッシャーをかけるとむしろ苦痛を覚えることになる。充足化と最適化の違いをかんがえるといくつかの疑問に突き当たる。幸せな人たちは充足化するタイプの人たちであることが多い。自分は人生で何がしたいかを知っていて、満足したらそこで立ち止まることのできる人たちだ。彼らの目的や求めるものは経験とともに変わらない。もっと高いレベルを目指し、いつも消費生活を高めようと努め、自分の中でいたちごっこを始めてしまうことがない。つまり、欲に限りがあり、飽くことを知っている。

不確実性をしょうがないと受け入れることで、幸せになれるといいます。全てを合理的に、自分の意図のとおりにこなそうとするとかえって辛くなるよということです。私は休みの日は、あらかじめ決めたスケジュールをこなすように、合理的に効率よく過ごそうとします。(それでかえって疲れてしまうこともあります。)一方、妻は、なるようになる、おそくなったら、その時考えればいいわ。って感じで、イライラさせられます。妻は不確実性を受け入れる充足化するタイプ。私は、最適化を突き詰めるタイプのようです。