見る 目の誕生は私たちをどう変えたか
印象に残ったことを要約して抜書きします。
- 脊椎動物の中では哺乳類は乏しい色彩しか感知できない。もともと哺乳類が夜行性で光を敏感に感知する能力を色覚に優先させて発達させたから。
- 同じところを見つめ続けると、刺激に慣れてよく見えなくなる。大型の哺乳類は目玉をくりくりと動かして常に違う方向を見るようにしている。(これをサッカードと言う)鳥や昆虫などの小さい種は、目玉は頭に固定されているが、頭自体を小刻みに動かしてサッカードする。人の目玉の動きと小鳥の首の動きは同じだそうです。
- 見るというのは、単純に網膜に写った光を感知することではない。感覚と学習の相互作用を繰り返すことで眼で世界を認識できるようになる。盲目の人が視力回復手術を受けて視覚が戻ったとしても、目で見る練習をしないと見えるようにならない。
- 人の目がピントを合わせてはっきりと見ている範囲は、視角で2度の狭い範囲にかぎられている。その周りはぼんやりとしかみていない。視野の周辺は急激な動きがあれば感知できるが、意識にも登らない。人は見たいものしか見ていない。
- 人の網膜に写る画像は、上下逆さま。脳で上下を逆転させ左右を入れ替える処理をして認識している。また脳で色のコントラストをはっきりさせる処理をしているそうです。その為に必要な時間が約0.5秒。われわれは0.5秒前の世界を見ている。
生き延びるために必要な情報を認識しやすいように、脳は視覚情報を処理してくれる。で、脳が処理してくれた情報を認識するのは、誰?、脳じゃないよね。
眼の誕生と生物の進化について:眼の誕生
認識、意識について:脳は空より広いか
認識、意識について:意識とは何か
- 作者: サイモン・イングス,吉田利子
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