旅館再生 老舗復活にかける人々の物語
私は加賀温泉郷、片山津温泉の近くの出身です。昭和50年代から60年代にかけての賑わいにくらべると、最近の街の様子は寂しいかぎりです。えっーと思うような由緒ある旅館が次々と倒産していきます。廃業して廃墟になるところもあれば、県外資本に買い取られて一泊2日7千円の格安旅館に衣替えして営業しているところもあります。格安旅館は今の所大変な賑わいです。
全国を見渡してみても、どこの温泉地もバブル期の巨額投資のつけにあえいでいるようです。そのなかで、事業を見直して再生したところ、身の丈を越えた巨大化に走らず、個人客をつかんで繁盛しているところなどが、この本で紹介されます。
以下メモ
株式会社星野リゾート 星野佳路さんの旅館活性化の4つの視点
- 日本の働き盛りの人々は、滞在型を望んでいる。
- 団塊世代が今後、次々と引退していくが、60代、70代は活動を求めるアクティブシニアと呼ばれる行動派だ。
- 海外からの観光客への対応
- 日本の地域文化の「正当進化」
家族4人で一泊2万円以下で、ご飯がそこそこおいしくて3日くらい安心し得t家族全員がのんびり過ごせるところがあればいいなぁ。
奥湯河原温泉、「加満田」の番頭、師星照男さんの言葉
- 思えば思われる
ゲストに接したら
- 無駄口は利かない
- 聞かれたことに答え、”空世辞”は言わない
- 聞き上手になる
確かに。空世辞は言うのも言われるのもやなもんです。
山中温泉にある「かよう亭」も登場してます。今では、少数の部屋で個人客を丁寧にもてなす宿として有名です。昭和40年代に、当主の上口正徳さんが、父親をヨーロッパ視察に行かせているあいだに、それまでやっていたごく普通の温泉旅館を突如休館、廃業させて、方向転換を図ったそうです。当然父親とは大喧嘩、最後に味方になってくれたお母様の名前「かよ」にちなんで「かよう亭」と名づけられたそうです。高度成長期の真っ只中に、先を見通して、思い切った行動に出られたのは驚きです。
旅館再生 ――老舗復活にかける人々の物語 (角川oneテーマ21)
- 作者: 桐山秀樹
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/06/10
- メディア: 新書
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