ヨーロッパの100年 上
オランダのジャーナリスト、ヘールト・マックが、20世紀ヨーロッパで重要な事件が起きた土地を訪ねて、実際に体験した人に話しを聞く。現在の姿と対比しながら、事件を語っていく。1、2世代さかのぼれば体験した人はまだかろうじて生きている。100年前の事は、家族の体験として事件がリアルに語られるギリギリの過去だろう。
上巻は第2次世界大戦開始までのことが書いてある。この時期のヨーロッパは、とにかく、たくさんの人が殺されている。戦争に革命、内戦。おびただしい数だ。
第一次世界大戦では、
東部および西部戦線で戦った七千万人余りの兵士のうち、九百万人が死亡(13.5%)、千五百四十万人が負傷した。
ロシア革命では、
一九一七年から一九二二年までの混沌とした時代に、三百万人から5百万人の死者が出たと推測される。
スペイン内戦では
スペイン内戦全体ではほぼ五十万人が命を落とした。二十万人のスペイン人が戦場で、三万人が飢餓で亡くなり、残りは殺害された。
一九四五年、ドイツ占領下のヨーロッパで生き残っていたユダヤ人は、七百五十万人のうち二十パーセントにすぎなかった。ユダヤ人男性あるいは女性ないし児童はそれぞれ五人につき、わずかに一人しかホロコーストを生き残れなかったことになる。
スターリンの性急な農業集団化は、最近の最も正確な見積もりによると七百万人の命を奪った。五百万人がウクライナで、二百万人がソ連のその他の地域で。
最も信頼のおける統計によると、おそらく二百五十万人から三百万人がグラグで命を落とした。一九二八年から一九五二年の間に1千万人から千二百万人のソ連市民が純化、飢饉、強制集団化によって命を奪われた。
これだけたくさんの人が、国とか民族の名の下に死んでいること、どこにでもいるごく普通の人の、積極的、消極的な協力なしには、これだけたくさんの人を殺すことはできなかったであろうこと、を思うと言葉を失う。
- 作者: ヘールト・マック,長山さき
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2009/06/23
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